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お経に親しむ
「舎利礼文」 ~お釈迦様を慕うお経~
(令和6年 12月の法話)
『舎利礼文』は、漢字七十二文字で書かれた短いお経です。
題名の「舎利」とは、お釈迦様の遺骨のことです。
このお経は、そのお釈迦様の遺骨を敬い拝むことを説いています。
お釈迦様が亡くなられた時、人々はお釈迦様を偲び、
火葬した後の遺骨を八つに分けました。
そして、その遺骨を納めた舎利塔を建てて、
供養したと言われています。
その後、各地にお釈迦様の徳を象徴する、
たくさんの舎利塔が建てられ、信仰の対象となりました。
このお経は、いつどこで、誰によって作られたのか、
はっきりしたことはわかっていませんが、
中国や日本で昔から読まれています。
また、道元様が亡くなられて火葬される時に、
弟子達によって、この『舎利礼文』が読まれたと伝えられています。
葬儀の際に読まれる他、火葬の時や、
お墓に納骨をする時などにも読まれます。
その他にも様々な法要で、供養や回向のために
読まれることがあります。
お経の中に「仏加持故」 「我証菩提」
「以仏神力」 「利益衆生」という一節があります。
その意味は「お釈迦様を慕い、一心に拝むことによって、
私はお釈迦様の助けを借りて悟りを開き、
お釈迦様の不思議な力のお陰で、
人々に救いの手を差しのべる事ができるのです」ということです。
偉大なお釈迦様のことを尊敬し、お釈迦様のようになりたい、
少しでも近づきたいと思いながら一心に拝むと、
その功徳によって、自分も他の人も、
共に仏教徒としての道を進むことができると、
このお経は示しています。
葬儀や供養の際にこの『舎利礼文』が読めまれるのは、
お釈迦様を慕うこのお経が、亡き人を慕う気持ちと重なるからです。
そして同時に、このお経の功徳が
亡き人へも向けられるようにとの願いが込められているのです。