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曹洞宗 随昌院
〒410-2315
静岡県伊豆の国市田京1075-8

過去の法話

お寺の行事と食べ物
~おはぎとぼたもち(お彼岸ひがんにちなんで)~

(令和6年 8月の法話)

秋にはお彼岸という仏教の行事があります。
「彼岸」というのは、「彼方かなたの岸」を意味し、
仏様のいるさとりの世界をさします。
彼岸には、心安らぐ悟りの世界を共に目指そうという、
人々の思いを感じます。

お彼岸は、秋分の日と春分の日を中心とした一週間をいいます。
この間に人々は、お寺にお参りをし、お墓参りをして、
ご先祖様に感謝、供養をします。
家々ではおはぎを作ってお仏壇にお供えします。
また、近所におすそ分けする風習もあります。

お彼岸を彩るこのおはぎは、もち米にうるち米を混ぜて炊き、
これを軽くついて丸め、小豆の餡子あんこをまぶしたものです。
小豆の赤色が鮮やかな、甘くておいしい食べ物です。

お彼岸にお萩を供える理由には、たくさんの説があり、
はっきりしていませんが、江戸時代の頃から始まった風習のようです。
もともとおはぎに使われる小豆の赤色には
災いをはらう力があると信じられていました。
特別な力があるこのおはぎは、
初めお祭りなどで神様にお供えされていましたが、
やがてそれが先祖の供養と結びついたと考えられます。

ところで、おはぎには、『ぼたもち』という別名があります。
今では一年中おはぎと呼ばれることが多いようですが、
昔は二つの名前を使い分けていました。
秋には『おはぎ』と呼び、春には『ぼたもち』と呼んでいました。

おはぎ(お萩)という名前の由来は、小豆の餡をまぶす様子が、
秋に咲く萩の花に似ているからといわれています。
またぼたもち(牡丹餅)という名前は、その形や色が
春の咲く牡丹ぼたんの花に似ているからと言われています。
季節の美しい花になぞらえた名前に、
日本人のこころの豊かさを感じます。