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曹洞宗 随昌院
〒410-2315
静岡県伊豆の国市田京1075-8

過去の法話

お寺の行事と食べもの ~禅寺とたくあん~
(令和5年 11月の法話)

冬の寒さが一段と厳しくなる頃、
日本各地でたくあんの漬け込みが行われます。

たくあんは日本の漬け物の代表です。
大根を天日に干し、塩とぬかを加えて漬け込みます。
冬の寒風に当てて乾かすと、大根の水分が抜けて、
甘みが際立ってきます。
そして、塩に漬け込むことにより、
長い間保存できるので、
一年を通して食べることができます。

このたくあんを考え出したのは、
江戸時代の初めに活躍した禅宗の名僧、
沢庵禅師だと言われています。
禅宗には、中国から伝わった
大根などの塩漬けが古くからあったそうです。
しかし、これは塩辛いだけのものでした。
この漬け物に、米糠などを入れて甘みをつけるなど
改良したのが沢庵禅師だそうです。

禅寺の食事では、このたくあんが欠かせません。
たくあんなどの漬け物は香菜こうさいと呼ばれ、
毎回の食事で必ず食べます。

毎年冬になると、多くの禅寺で
たくあんを漬ける姿がみられます。
大本山永平寺では、十一月末頃、冬の寒さの中、
たくあん作務と呼ばれる修行僧による
一年分のたくあんの漬け込み作業が行われます。

永平寺では約三百人にのぼる
大勢の修行僧が暮らしています。
この修行僧が毎日食べるたくあんを数日かけて漬けるのです。
使う大根は一万本に及ぶ時もあります。
人が何人も入ってしまうような大きな木の樽をはじめ、
大小様々な樽にびっしりと大根が敷き詰められていきます。
伝統的な方法を守り、一本一本丁寧に、
修行僧の手によって漬けられます。
このたくあん作務、今では毎年恒例の行事となっています。