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曹洞宗 随昌院
〒410-2315
静岡県伊豆の国市田京1075-8

過去の法話

お寺の行事と食べ物 ~梅湯ばいとうのおもてなし~
(令和5年 6月の法話)

六月は梅の実のなる季節です。
梅は昔から日本人に親しまれてきました。
春には花を咲かせて人々を楽しませ、
初夏には青々とした実をつけます。
梅の実は主にシソを使って塩漬けにして梅干しにされ、
みんなの食卓にのぼります。

梅はもともと中国から日本に伝わったいわれています。
中国では梅は薬として使われていました。
今でも漢方薬には梅の実をいぶして日に干したものがあり、
熱さましや下痢止めに使われています。
日本では早くから梅は梅干しにされていましたが、
やはり初めは薬として使われていたようです。

禅僧は昔から生活の中に上手に梅を取り入れています。
朝の食事のお粥には、梅干しが欠かせません。
食欲のない朝でも梅干しのおかげで食が進みます。

梅を利用するのは食事の時だけではありません。
来客の時に禅寺では、おもてなしとして
梅湯が出されることがあります。
梅湯とは、蜜湯(蜂蜜か砂糖を入れたお湯)の中に
梅干しを入れたもので、甘酸っぱく、
さっぱりとしたおいしい飲み物です。

梅湯は多くの場合、種取った梅の実を割り箸に挟んで、
それを蜜湯の入った湯のみに添えて出します。
飲むときには、割り箸の梅干しを
蜜湯に入れてから飲みます。
もともと鎌倉時代には、禅寺でお茶と一緒に梅干しを
お菓子として食べていたと言われています。
その後、さまざまな工夫がなされて、
今の梅湯の形になったのでしょう。

現在では梅に殺菌や食欲を増す効果の他に、
疲れをとる作用があることがわかってきています。
甘酸っぱい梅湯は、遠くからやってきたお客さまを気遣う、
思いやりの一杯なのでしょう。