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曹洞宗 随昌院
〒410-2315
静岡県伊豆の国市田京1075-8

過去の法話

お寺の行事と食べ物 ~お茶や蜜湯みっとうのお供え~
(令和5年 3月の法話)

仏教徒の家庭には仏様やご先祖様を
供養するための仏壇があります。
そして、仏壇にお茶をお供えするために、
茶湯器ちゃとうきという仏具が使われています。
茶湯器はふたの付いた湯のみを、
脚のついた受け台にのせたものをいいます。

ところで、仏壇は、茶湯器を
一つしか使わない場合が多いようです。
しかし、茶湯器は本来、
お茶と蜜湯を別々にお供えするための仏具で、
二つで一組として使われました。
今でも、主に禅宗のお寺では、
お茶と蜜湯を別々に仏様にお供えしています。
お寺で使われる茶湯器は
家庭で使われるものよりも大きく、
受け台の脚が長くなっています。
持つ時はこの脚の部分に右手を添え、
左手で底を支えて持ちます。

禅宗では、お茶や蜜湯が大切にされます。
それはこれらが薬として
貴重なものとされたからだと考えられます。
特にお茶には、修行の時に
眠気を防いで精神を集中させる効果があるため、
禅宗の修行者に用いられ重宝されました。
やがて、これらの貴重なお茶や蜜湯は、
人をもてなす時に差し上げる特別な飲み物となりました。

曹洞宗では仏様を礼拝らいはいする時に、
献茶湯けんちゃとうと呼ばれる仏事を行うことがあります。
けん」とは「差し上げる」という意味があり、
仏様にお茶と蜜湯とお菓子を捧げて供養する
仏事のことを指します。
導師は両手で丁寧に茶湯器を持ち、
香炉から立ち上ぼるお香の煙をくぐらせてからお供えします。
この仏事では、目の前に仏様いらっしゃるのかように、
うやうやしくお茶と蜜湯とお菓子をお供えします。

たとえ目の前にいなくとも、
最高のおもてなしをする、これが供養のこころなのでしょう。