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曹洞宗 随昌院
〒410-2315
静岡県伊豆の国市田京1075-8

過去の法話

新年のお祝いの餅~寿餅じゅびょう
(令和5年 1月の法話)

お正月は鏡餅やお雑煮など、
お餅を目にする機会が多いですね。
新年に食べるお餅には、
新しい年を健康で幸せに過ごせるように、
という人々の願いが込められています。
お餅はもともとお正月の季節の行事や、
お祝い事などのめでたい日に、
神仏にお供えする特別な食べ物でした。
そしてお供えした後は、家族で食べたり、
近所に配ったりしていました。

このように日本人の生活に溶け込んでいるお餅ですが、
お寺でもお餅を使う行事があります。
曹洞宗では、新年に弟子が師匠に鏡餅を差し上げて、
その年の健康と幸福を願う習わしが受け継がれています。
このお餅は「寿餅」と呼ばれています。

お正月の間、お寺では、人々に幸福を願う
修正会しゅしょうえというご祈祷が行われます。
このご祈祷とは別に、
弟子は師匠に差し上げるための寿餅を
仏法の守り神である竜神様の掛け軸の前にお飾りして、
師匠の一年の幸福と健康を願い、
お経読んでご祈祷します。

永平寺や総持寺などの修行道場では、
可漏かろと呼ばれる包みで寿餅を送る習わしがあります。
弟子はおめでたい紅白の和紙を使い、
丁寧に折ってきれいな可漏をつくります。
そしてお餅を薄く小さく四角に切り、
新年のあいさつの手紙と一緒に送るのです。

もともと、寿餅は一月四日に、
師匠の元へ直接届ける習わしでした。
弟子は師匠に寿餅を届け、
新年の挨拶として師匠に礼拝らいはいをします。
日頃の感謝を込め、丁寧にお拝をするのです。
師匠も一緒に礼拝し、
お互いの一年の幸福と健康を祈ります。

毎年の寿餅の行事は、弟子と師匠のきずなの
大切さを感じる大切な風習なのです。