過去の法話
中秋
(令和4年 9月の法話)
旧暦の八月十五日は中秋節。
中国では祭壇を設け、家族の団欒を象徴する
月餅を供える習俗もあります。
月餅は等分に分け食べられ、
帰郷できない家族の分は
翌年の春節の帰郷まで保存されます。
そんな中秋に満月を愛でる「翫月」の習慣は、
唐代ころにはじまり、宋代には
盛大な楽器つきの宴会もあったことが知られます。
真っ暗闇が普通の時代。
夏の暑さもようやく過ぎ、
澄み切った空気の中でもたらされる
月の輝きは貴重な存在でした。
翫月は、修行道場でも重視され、
説法の場が設けられました。
欠けるところのない満月は、
人間をはじめあらゆる存在が持つ「仏性」と
関係づけて捉えられました。
中秋の満月が世界をくまなく照らし、
どこへ行ってもついてくるように、
人間の尊厳はいつでもどこでも
離れることなく欠けることがない。
そんな尊厳を固有する「あなた」はどう生きようとするのか。
答えを出すのは私たち自身です。