過去の法話
結制安居
(令和4年 5月の法話)
「安居」は、仏教教団の重要な行事の一つで、
インド以来の伝統を持ちます。
托鉢遊行の生活を原則とする仏教者が、
雨季には一ヵ所にとどまって、
ブッタの説法を聞き、坐禅に勤しみました。
それは、雨中に活躍する
虫たちを害さないためだけでなく、
修行者の健康にかかわるからではないでしょうか。
この習慣が後に制度化されて
「九旬安居」(九十日間)」と定められました。
当初は雨季の夏にだけ行われましたが、
現在では冬にも行われます。
ちなみに説法の場を設けることを「結制」と呼ぶのも
「九旬安居の制を結ぶ」の意味からきています。
修行僧は、早朝の坐禅にはじまり、
就寝に至るまで、行住坐臥、
あらゆる場面で規則に則った生活を送ります。
非現実的な生活のように思えますが、
欲望にまかせず、必要な範囲にとどめた生活こそ
心の安らぎにつながるように思います。