過去の法話
超師
(令和4年 4月の法話)
四月、多くの人々が新たな環境で頑張っている時期。
そこにはベテランがおり新人がおり、
様々な経験の違いがあります。
禅宗の修行にも師匠がいて弟子がいます。
同じ寺で起居を共にし、切磋琢磨することを通して、
ふれあいが生まれ「以心伝心」の世界となります。
道元禅師は『学道用心集』で「正師)をえらぶべきこと」を指示します。
修行者を「雲水」と呼ぶのは、雲の如く水の如く、
正師を求めて遍歴することによります。
教えが伝わることを「一つの器の水を余すことなく
一つの器にうつす」と表現しますが、
それだけでは一人前ではないと百丈懐海禅師は、
「見、師と斉しくして、師の半徳を減じ、智、師を過ぎて、
方に伝授するに堪えたり。
子の今の見処、
宛も超師の作有り」と残します。
慈しみ導いてくれた師匠を超えて
どう自分の独自性・個性を出すか。
時処位を超えて通ずることばではないでしょうか。