過去の法話
柔らかい身体から
(令和3年 6月の法話)
あるお寺の摂心(一日中坐禅をする修行)に参加した時のこと。
身体が硬くてうまく足が組めない私は、
痛いのを我慢して根性で坐禅をしていました。
脂汗タラタラです。それを見かねた和尚さんが、
「まずは坐禅を組む前の準備運動が必要だね」
と、ストレッチ法を教えてくださいました。
足首を柔らかくする運動から、股関節の柔軟性を高め、
上半身のこわばりをとる運動まで、
丁寧にゆっくりと身体全体をほぐしていきます。
眉間にシワを寄せて我慢して坐るのではなく、
「安楽の法門」(『普勧座禅儀』 より)として坐る。
目からウロコが落ちるような体験でした。
「心を柔らかくするのは難しいから、
まずは身体から柔らかくしてゆくのですよ」
和尚さんの柔らかな微笑みとともに、
その言葉は深く私の心に刻まれています。