過去の法話
お粥とお釈迦さま
(令和2年 12月の法話)
二十九歳で出家したお釈迦さまは
解脱をめざして修業を続けましたが、
断食や苦行では悟りが得られませんでした。
苦行では悟れないことに気づいたお釈迦さまは、
スジャータという村人からもらった
乳糜(牛乳で炊いた粥)を食べて菩提樹の下で坐禅を始め、
十二月八日にお悟りを開いたのです。
昔は十二月のことを臘月と言いましたから、
臘月八日を略して臘八とも称しました。
室町時代の国語辞典『節用集』や
江戸時代の百科事典『類聚名物考』には、
この日に臘八粥という紅糟粥を食べたことが記されています。
こうした風習は、中国から伝えられました。
『粥譜』には、豆粥・茶粥・芋粥など、
二三〇種の粥が載っていますし、
蘇東坡の薫陶を受けた北宋の文人・張来は『粥記』という本で、
粥を毎朝食べることが健康につながると絶賛しています。