過去の法話
甘茶の話
(令和2年 4月の法話)
四月八日はお釈迦さまの誕生をお祝いする降誕会です。
右手で天を、左手で地を指さした誕生仏に甘茶を注ぐことから、
灌仏会や浴仏会とも言われます。
しかし、一般には誕生仏を安置したお堂をきれいな花で飾って
おまつりすることから「花まつり」の呼び方が親しみやすいでしょう。
花まつりは、お釈迦さまが生まれるとすぐに七歩あるいて
「天上天下、唯我独尊」と言われたという伝説と、
龍王が甘露の雨を降らせて祝福したという故事に基づいています。
日本で花まつりが行われたのは、
推古十四年(六〇六年)の元興寺が最初で、
次第に広まったと言われています。
初めは香りのよい湯を注いで誕生仏を清めていたようですが、
甘茶を用いるようになったのは江戸時代と言われています。
甘茶は古くから甘味料や防腐剤としても珍重されていました。