過去の法話
安心
(平成30年 10月の法話)
その昔、はるかインドから中国へやって来た達磨大師は、
慧可という人物に出会います。
慧可はいつも自分が不安であることを告白します。
しかし大師は無言のまま。
たまらず「どうか不安から救ってください」との訴えに、
大師はようやく答えます。
「わかった。それでは不安という心を持ってきなさい」
慧可は答えに窮して
「形のない心をどうやってお見せしましょう」
と答えると、大師は諭します。
「そうか、わかった!
もう私は、君のために安心を与えたのだよ……」
人は誰でも不安でしかたがないときがあります。
しかしそんな不安の正体も、本当は最初からなかったかも知れません。
達磨大師の安心の教えとは、そんな本来の心を教えているのです。