過去の法話
無心
(平成30年 9月の法話)
晴雲秋月のとき。
実りの秋とともにお彼岸の季節です。
お彼岸は「日願」とも書くように、
太陽への願いや感謝を捧げてきました。
ところで仏教には「中道」という
何ごとも極端な考えを戒める教えがあります。
春分の日、秋分の日は昼夜が同じ長さ、
気候も平穏、天道は真東から真西……。
まさに中道の教えを振り返るに相応しい季節と言えましょう。
人は、ともすれば毀誉褒貶に動揺し、世情に流されてしまうもの。
しかし太陽が天道を歩むように、
人も堂々と世間の中道を歩むことが大切です。
例えば、秋空に悠々と浮かぶ一片の白雲。
それは何ごとにもとらわれない自由で清々しい境地そのものです。
禅語では、こうした心情を「孤雲本無心」と尊びます。
この季節、大空の雲を眺めて、あるがままの自分を見つめ、
もっと心を自由自在に遊ばせてみませんか?