過去の法話
信心
(平成30年 4月の法話)
鳥語花香のとき。
アスファルトに咲く春紫苑にも、
自然の生命力のたくましさを感じる季節です。
ある日、釈尊が田んぼのあぜ道を歩いていらっしゃった時のこと。
耕作する農夫を見つけた釈尊は、托鉢のために近づいていきました。
すると農夫は、「あなたも私のように働きなさい」と話しかけます。
しかし釈尊はやさしくこう答えました。
「私にとってこの世界が田である。
信仰が種、修行が恵みの雨、智慧が農具、戒めが牛の手綱である。
私にとって耕作はこのようになされ、
悟りという甘美な果実を収穫するのである……」。
この言葉を聞いて、農夫は心から感動し、
たちまち釈尊の弟子となったということです。
信じる心は、無限の力を宿している種のようなもの。
私たちも心に種をまき、春の息吹のように大切に育てましょう。